このページの要点
- 情報の矢印は三つ。会社から事業者へ(社内で見聞きする情報)、従業員から施術者へ(体調・相談)、事業者から外注先へ(顧客企業の情報とノウハウ)。書面の中心もそれぞれ違う。
- 社内に出向く人が守る情報は、開示された資料だけではない。定義に「知得した情報」を入れ、会議室・休憩室・入館の方法などを現場の言葉で列挙する。
- 会社への報告は、渡さない・統計に限って渡す・本人の同意で個別に渡す、の三段で決める。人事評価に使わない義務は、会社の側にも書く。
- 法人用・施術者用・営業担当用で書面を分け、通知の期限、返還の日数、再委託の承諾、第三者が持つ分の返還まで、立場ごとに組み立てる。
結論:まず三者の関係を描き、「誰が、誰の、どの情報を守るか」を三つの矢印に分ける
企業が従業員のために用意する福利厚生のサービス(出張して行う施術、オフィスで受けるコーチングや相談、健康づくりの講座など)には、三者が登場します。契約を結ぶ相手である会社、サービスを実際に受ける従業員、サービスを届ける事業者(とその先で動く施術者・営業担当)です。NDAを一通だけ作って済ませようとすると、情報が三方向に流れているために、どこかの矢印が必ず抜け落ちます。
矢印は三つに分けて考えます。一つ目は、会社から事業者へ流れる情報です。契約の打合せで渡される社内の事情に加えて、施術やコーチングのために社内に入った人が見聞きする人事・取引先・会議の話も含まれます。二つ目は、従業員から施術者やコーチへ流れる情報です。体の不調、悩み、家庭や職場の事情といった、会社に知られたくない話が中心になります。三つ目は、事業者から施術者や営業担当へ流れる情報です。顧客企業の名称、料金、手順書、予約の名簿など、事業者自身が守りたい情報です。
三つの矢印と、書面の置き場所
| 矢印 | 出す側 | 受け取る側 | 守る対象の例 | 書面の中心 |
|---|---|---|---|---|
| ①会社から事業者へ | 会社 | 事業者・施術者・コーチ | 社内で見聞きした人事・取引先・会議の話、入館の方法、利用者の名簿 | 会社と事業者のNDA、または業務委託契約の秘密保持の条 |
| ②従業員から施術者へ | 従業員(本人) | 施術者・コーチ・事業者 | 体調、持病や通院の状況、相談の内容、会話 | NDAではなく、個人情報の取扱いと会社への報告の範囲を決める条・利用者向けの説明 |
| ③事業者から外注先へ | 事業者 | 施術者・営業担当・再委託先 | 顧客企業の名称・担当者・料金、手順書、予約の名簿、営業のリスト | 施術者用・営業担当用のNDA、再委託の条 |
②の矢印だけは、守る相手が会社でも事業者でもなく従業員本人です。NDAは当事者の間の約束なので、本人の情報は、個人情報の取扱いの定めで別に守ります。
アトラス行政書士法人が作成してきた書類の中に、企業向けの出張型リラクゼーションを運営する事業者のNDAが四通(法人の顧客に向けたもの、施術者に向けたもの、営業担当に向けたもの、法人の顧客に向けたものの修正版)と、施術者向けの業務委託契約書があります。これらは、先の三つの矢印に合わせて書面を分けた例として読めます。このページでは、その書類で確かめた設計を前半に、従業員の健康情報や会社への報告の範囲については個人情報保護法にもとづく一般的な考え方を後半に置きます。後半の条文例は一般的な書き方の一例であり、事務所の書類にある条文ではありません。
なお、NDAを単体で結ぶか、業務委託契約の中に置くかという形の選び方はNDAをどの形で結ぶかで説明しています。このページは、その形が決まった後の、福利厚生サービスに特有の論点に絞ります。
事務所の書類では、四通のNDAと業務委託を「情報の向き」で使い分けていた
企業出張型リラクゼーションの事業者の書類を並べると、同じ事業の中で、書面ごとに情報の向きと期間の考え方が変わっていることが分かります。次の表は、各書面で確かめた要点です。
書面ごとの情報の向きと期間
| 書面 | 情報の向き | 存続の考え方 | 目立つ特徴 |
|---|---|---|---|
| 法人の顧客用のNDA(修正版2) | 定義は双方向(開示当事者・受領当事者)。企業を甲、事業者を乙とする並び | 有効期間3年、その終了後さらに3年 | 当初の汎用の書式は事業者が甲として情報を出す立場だった。修正版では、企業の側の情報を事業者が受け取る場面に合わせて当事者の並びを入れ替えたと見られる |
| 施術者用のNDA | 双方向。業務委託その他の取引関係を「検討する段階」から対象 | 取引関係の終了日から1年。営業秘密・個人情報・開示者が指定した情報は、性質を失うまで | 秘密情報の複製・要約・解析の禁止、第三者提供の事前承諾と同等の契約、第三者が持つ分の返還・廃棄の徹底 |
| 営業担当用のNDA | 双方向。営業活動を委託する業務委託契約に付随 | 業務委託契約の終了日から3年。除外事由に当たれば、その時点で終了 | 漏えいの通知は24時間以内で、通知事項を四つ指定。返還・廃棄は要求から7日以内。定義に「知得した情報」を入れる |
| 施術者用の業務委託契約書 | 業務委託契約の中の秘密保持の条 | 契約終了後5年。営業秘密・個人情報は要件を失うまで | 個人情報の条を別に置き、再委託は事前の書面承諾、賠償は上限の定めと例外の類型を置く |
| 法人の顧客用の業務委託契約書(修正版3) | 事業者が、企業から開示を受け又は知り得た情報を守る片方向の条 | 契約終了後1年 | 業務に「施術後の簡易報告」が含まれる。報告の中身を決めることが、後の章の論点になる |
存続の長さは、書面を渡す相手の入れ替わりの多さや、触れる情報の重さに合わせて変えていると見られます。期間の組み立て方は存続期間で扱っています。
ここで読み取れるのは、一通の書式を全員に使い回していない、という点です。施術者は入れ替わりが多く、顧客企業の社内に出向く個人です。営業担当は顧客企業の名簿や見積りに触れます。会社は、自社の情報を事業者に預ける側です。それぞれが受け取る情報の性質と、情報を預ける側の守りたいものが違うので、書面の中心になる条も違ってきます。
本体の業務委託契約書にも秘密保持の条があり、さらに別のNDAがあるときは、二つの規律の関係を決めておく必要があります。たとえば業務委託側の秘密保持が終了後1年、別建てのNDAが3年のように期間が違う組み合わせでは、どちらが優先するか、重ねて適用するかを、書面を組み合わせる段階で決めておきます。選択肢は重畳・引継ぎ・置き換えの三つです。
社内で見聞きする情報:「開示された情報」だけでは、聞こえた・見えた情報が外れる
オフィスに出向いて施術やコーチングを行う人は、渡された資料の外で、さまざまな情報に触れます。施術に使う会議室の隣から聞こえる会議の声、休憩室の雑談、壁や机の上の資料、パソコンの画面、入館のための手順、予約の名簿に並ぶ従業員の名前です。こうした情報は、会社が「開示した」わけではありません。定義を「開示された情報」に限ると、これらは秘密情報から外れます。
事務所の書類を見比べると、定義の作り方に二つの型があります。施術者用や汎用のNDAは、「開示された情報」を軸に、開示の状況やその性質上秘密と認められる情報を加える型です。営業担当用のNDAは、開示・提供・送付・提示・伝達に加えて、受領当事者が知得し、又は入手する一切の情報までを定義に入れる型です。社内に入って見聞きする人が受け取る情報を守りたいなら、後者の「知得」を入れる型が合います。
あわせて、会社が守りたい情報を、現場の人にも伝わる言葉で列挙します。「営業上・技術上の情報」とだけ書いても、施術者には何が対象か分かりません(業種の言葉で列挙する)。
- 社員の氏名・所属・利用の有無・利用の時間帯(予約の名簿や、休憩の取り方から分かること)
- 人事・組織・評価・異動・処遇に関する話(会議や雑談で聞こえたもの)
- 取引先の名称、案件名、価格、契約の条件(資料や画面で見えたもの)
- 会議の内容、掲示物、書類、パソコンやホワイトボードの記載
- 入館の方法、鍵や暗証番号、フロアの配置、設備、警備の体制
- 来訪者の名前、社外に出していない行事や発表の予定
- 経営や業績について、社内で見聞きした話
- 上記から作られたメモ、写真、要約その他の派生情報
第○条(社内で知り得た情報)【一般的な書き方の一例】
1乙及び乙が本業務のために使用する者は、本業務を行うために甲の事務所、会議室その他の施設に立ち入った際、見聞きし、又は知り得た甲及び甲の従業員、取引先に関する一切の情報(開示された情報に限らず、秘密である旨の表示の有無を問わない。)を秘密情報として取り扱う。
2乙は、前項の情報を、本業務の遂行以外の目的に使用せず、他の顧客、同業者その他の第三者に開示し、又は話題にしてはならない。
3乙は、第1項の情報を、撮影、録音、録画、メモその他の方法で記録してはならない。ただし、本業務の遂行上必要な範囲で、甲の承諾を得て行うときは、この限りでない。
「他の顧客や同業者に話題にしない」は、現場の雑談で起きる漏えいを、外から見える行為で止めるための書き方です。事務所の書類の条文ではなく、一般的な設計の一例です。
社内で知り得る情報の守らせ方
出す側(開示者)の設計
- 定義に「知得した情報」を入れ、開示の有無を問わない形にする
- 会議室・休憩室・入館の方法など、現場の言葉で具体例を並べる
- 撮影・録音・メモの扱いを、場面を限って決めておく
- 立ち入る人の氏名を、あらかじめ会社に知らせる運用を条文にする
受け取る側(受領者)の点検
- 「見聞きした全部」を秘密にすると、業務に必要な連絡まで縛られないか確かめる
- 公になっている会社の情報(公式サイトの案内など)は、除外の号で外れることを確かめる
- 守らせる範囲は、使用する施術者・コーチ全員に及ぶか、教育の記録を残せるか
- 同じ事業者が複数の会社に出向くとき、他社の話題を出さない運用を整える
除外事由の書き方は除外事由・残存知識、同席者や再委託先に守らせる書き方は目的外利用・開示の範囲で扱っています。
従業員の体調・相談内容と、会社への報告の範囲
会社が費用を払って提供する福利厚生サービスでも、従業員が施術者やコーチに話したことは、従業員本人の個人情報です。会社が契約の当事者だからといって、その内容を会社が受け取れるわけではありません。ここでは、個人情報保護法にもとづく一般的な設計を書きます。事務所の書類にある条文ではなく、サービスを設計するときの考え方です。
報告の範囲は、三段に分けると決めやすくなります。①渡さない情報は、施術やセッションの中の会話、症状、持病や通院の状況、相談の内容です。②統計に限って渡す情報は、利用した人数、回数、時間帯、満足度の集計など、個人が推測できない単位にした数字です。③本人が同意した場合に限り、個別に渡す情報は、たとえば本人が会社の健康管理の窓口へ橋渡しを望んだ場合の情報です。
この三段の背景には、次の条文があります。持病や通院、服薬の状況などを問診で聞く場面では、病歴などの要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)に当たる情報が含まれることがあり、取得にはあらかじめ本人の同意が要ります(同法20条2項)。個人データを第三者に提供するにも、原則として本人の同意が要ります(同法27条1項)。会社が従業員の名簿を事業者に渡すときは、事業者が会社の委託を受けて福利厚生を運営する形なら、委託に伴う提供として同意なしで行えます(同法27条5項1号)。一方で、事業者が自分のサービスとして従業員から直接申込みを受ける形なら、事業者が本人から直接取得することになり、利用目的の通知や明示が要ります(同法21条)。どちらの形になるかは、運営の実態で決まります。
法人の顧客用の業務委託契約書(事務所の書類)には、本業務に「施術後の簡易報告」が含まれています。この「簡易報告」の中身を決めておかないと、報告書の備考欄に「肩こりが強い」「睡眠が取れていないと話していた」と書かれ、会社に個人の体調が伝わります。報告の書式を、集計の項目に限って決めておくのが安全です。
第○条(会社への報告の範囲)【一般的な書き方の一例】
1乙が甲に行う報告は、利用した人数、実施回数、実施時間帯、設備その他の運営上の要望及び利用者の満足度の集計に限る。個人を特定し、又は推測することができる形の報告は、行わない。
2乙は、利用者が施術又は相談の際に述べた内容及び利用者の心身の状態に関する情報を、利用者本人の同意がある場合を除き、甲に提供しない。
3甲は、本業務を通じて知り得た利用者に関する情報を、人事評価、配置その他従業員の処遇の判断に用いない。
第3項は、会社側の義務です。「人事評価に使わない」と利用者に説明するなら、事業者だけでなく、会社の義務としても書く必要があります。事務所が見た実証実験の覚書のレビューでも、同じ点を指摘しました。
ヒヤリングで確かめること報告の範囲を決めるために
- 会社に渡す数字は、何人以上の単位にまとめるか少人数の部署で「この部署の利用は1名」と報告すると、個人が特定できます。報告の最小単位を決めておきます。
- 従業員は、会社を通さず自分で予約するか、会社の名簿から案内されるか事業者が本人から直接取得するのか、会社の委託を受けて運営するのかで、同意や通知の手順が変わります。
- 問診で、持病・通院・妊娠・メンタルの不調を聞くか聞くなら、要配慮個人情報として取得の同意の取り方を決めます。聞かないなら、問診票に書かせない運用にします。
- 会社の健康管理の窓口へ紹介する場面があるか紹介する場合は、本人が同意した内容だけを渡し、同意の記録を残します。
- 従業員に、会社に伝わる情報と伝わらない情報を、どう示すか利用前の説明書面に一覧で書きます。説明と契約の約束が食い違わないようにします。
個人情報そのものの取扱いを会社と事業者の間で詳しく決めるときは、NDAとは別の書面を使う方が設計しやすくなります。報告の期限、再委託、削除の報告などの組み立ては個人情報の取扱いに関する覚書で説明しています。
録音・録画・文字起こしと、社内共有:強さの段で決める
企業内のコーチングや相談、体の使い方を学ぶ講座では、内容を録音・録画したり、生成AIで文字起こしや要約をしたりしたい、という要望が出ます。従業員の側から見ると、会社の費用で受けるサービスの内容が記録され、社内に共有されるのは、話しにくくなる大きな理由になります。記録を認めるかどうか、認めるなら誰がどこまで使えるかを、書面で決めます。
記録・社内共有の扱い上ほど強く縛る書き方
- 記録をしない施術・セッションの内容を、事業者も会社も録音・録画・文字起こしをしない。施術・体調の相談・個別のコーチングなど、話の内容が個人的なもの
- 記録は本人の同意と事業者の承諾がある場合に限る記録をするときは、本人の明示の同意と、事業者の承諾の両方を必要とする。社内共有は事前の承諾に限る。研修的な講座で、受講者が録画を望むとき
- 記録は認めるが、共有を抽象化に限る個人を特定できない形・必要最小限の範囲での共有に限る。保存期間と削除の方法を決める。全体傾向を会社が把握したい講座・相談窓口
強い順に並べています。個人の相談に近い内容ほど、上の段を選びます。
記録の道具が外部の生成AIサービスなら、入力した内容がAIの学習などに使われるかどうかも問題になります。AIへの入力の線引きは生成AIへの入力にまとめているので、福利厚生の現場で使う場合も、その段の選び方に沿って決めます。
事務所の書類の施術者用NDAは、秘密情報の複製・改変・要約・解析を、開示者の書面による承諾なしに行うことを禁じ、業務の履行に必要な範囲の複製だけを例外として、返還・廃棄を求める定めです。施術者が業務のために作る簡単なメモも、この「複製・要約」に当たり得ます。禁止と例外の線を、現場のメモの運用に合わせて決めておくと、現場で守られやすくなります。
再委託と、法人用・施術者用・営業担当用の三本立て
福利厚生サービスを運営する事業者は、自分で施術する人は少なく、外部の施術者や営業担当に委託して事業を回すのが通常です。情報は、会社から事業者へ、事業者から施術者へ、場合によっては施術者の代役や再委託先へと、段階を踏んで渡ります。
情報の渡り方と、守らせる書面
会社に対して事業者が負う義務と同じ水準を、施術者・営業担当・再委託先にも負わせないと、鎖のどこかで水準が下がります。
書面を立場ごとに用意するとき、中心になる条を入れ替えます。汎用の書式と営業担当用の書式を並べると、何を足したのかが分かります。
事務所の改訂例 汎用の書式と、営業担当用の書式
守る対象
営業担当は、顧客企業の名簿や見積りを、業務の中で見聞きして知る。渡された資料だけに限ると、守る範囲が狭くなる。
事故のときの通知
「直ちに」だけでは、いつまでに何を伝えるかが決まらない。通知の期限と項目を決める(差止め・事故報告)。
返還・廃棄
「直ちに」は量によっては履行不能になる。日数で区切り、バックアップまで対象にする(返還・廃棄・証明)。
施術者用の書式で目立つのは、第三者に情報を渡した場合の扱いです。第三者に開示するには、事前に開示者の書面による承諾を得て、その第三者に同等以上の秘密保持契約を結ばせ、第三者の違反は自分の違反とみなします。返還・廃棄の義務も、第三者が持つ分に及びます。急な欠員のときに施術者が代役を立てる場合や、営業担当が協力者を使う場合に、この条が働きます。
会社の側から見た設計もあります。会社の社内に見知らぬ人が入るので、会社と事業者の契約に、立ち入る人の氏名を事前に会社へ知らせる条を置きます。これは一般的な設計であり、立ち入る人の範囲を会社の側で管理するための条です。
書面をつくる前に確かめる六つの問い
ヒヤリングで確かめること福利厚生サービスのNDAを組み立てるとき
- サービスは、会社の社内で行うか、外部の場所で行うか社内で行うなら、見聞きする情報が増えます。外部なら、会社から渡す資料と名簿が中心になります。
- 会社から事業者へ、何を、どの形で渡すか名簿・案内文・入館の手順など、実際に渡すものを書き出し、秘密情報の列挙に反映します。
- 実際にサービスを行う人は、事業者の社員か、個人の外注先か外注先なら、施術者用のNDAと業務委託契約書を整えます。雇用されるスタッフに違約金を置く設計は避けます(違約金・損害賠償)。
- 営業担当は、顧客企業の情報をどこまで見るかリスト・見積り・導入先の担当者に触れるなら、営業担当用のNDAを別に用意します。
- 会社に何を報告するか、報告書の様式は決まっているか報告の様式を先に決め、個人の体調を書く欄を置かない運用にします。
- 会社と事業者のNDAは、契約終了後いつまで効力を持たせるか施術者や営業担当より長い期間を、会社との間で約束していないか確かめます。
回答をもとに、会社用・施術者用・営業担当用の三本を、一つの事業の書類として整えます。
起きがちなこと
よくあるご質問
会社と結ぶNDAに、従業員の健康情報の扱いも入れてよいですか?
秘密情報の条とは別に、個人情報の取扱いと会社への報告の範囲を決める条を置くのが設計しやすい形です。報告は個人が推測できない集計に限り、個別の情報は本人の同意がある場合に限る、と書きます。詳しい書面の作り方は個人情報の取扱いに関する覚書の解説にまとめています。
出張施術の施術者にも、NDAを結ばせたほうがよいですか?
社内に出向いて人事・取引先・会議の話を見聞きする立場なので、結んでおくのが基本です。その場合、定義に開示された情報だけでなく、知得した情報も入れます。雇用されるスタッフに違約金を置く設計は労働基準法16条に触れるおそれがあるため、置きません。
従業員が施術中に話した内容を、会社に報告してもよいですか?
原則として、本人の同意がない限り報告できません。持病や通院の状況などは要配慮個人情報に当たることがあり、取得にも提供にも本人の同意が要ります。会社への報告は、人数や回数など個人が推測できない集計に限るのが安全です。
コーチングや相談の内容を、録音や文字起こししてもよいですか?
個人的な内容に近いサービスでは、記録しない設計が基本です。記録を認めるなら、本人の明示の同意と事業者の承諾を条件にし、社内共有は個人が特定できない形、必要最小限の範囲に限ります。外部のAIに入力する場合は、AIの条項と合わせて決めます。
法人用・施術者用・営業担当用のNDAは、相互型と片務型のどちらにすべきですか?
情報が三方向に流れるので、一つの型に決めず、書面ごとに選びます。会社の情報を事業者が受け取る書面は事業者を義務者にし、施術者や営業担当に事業者の情報を渡す書面は、受け取る側の義務を中心にします。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、取引の内容や相手の立場によって結論が変わることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた秘密保持契約書(NDA)、守秘義務契約書、業務上の守秘義務誓約書、秘密保持を内包した業務委託契約書、共同研究契約書・覚書、試験委託のNDA、PoCの覚書などを、個別の事業者や案件が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月20日)。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会