OEM・試作前の秘密保持覚書:図面を渡す前に結んでおく二本立ての約束

試作を頼むには、まだ契約を結んでいない工場に、製品の中身を渡さなければなりません。渡す前に、何を約束しておくかが決め手になります。

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秘密を一切漏らさない工場が、契約が流れたあと、自社の工場で似た製品を作った。漏えいではないので、秘密保持の約束だけでは止めにくい場面です。

このページの要点

  • 約束は二本立てにする。外に漏らさないこと(秘密保持)と、渡した情報に依拠して類似品を作らないこと(模倣・類似品の製造販売の禁止)は別の行為。
  • 本契約に至らなかった場面を覚書の中心に据え、禁止の範囲を『秘密情報に依拠した製品』などで画し、期間を決める。
  • 試作品や試料の解析を禁じ、試作中に生まれた改良は通知させる。取引先から預かった情報は、同等以上の義務を課して渡す。
  • 有効期間が終わっても秘密保持と模倣禁止が残るようにし、違約金を固定せず、実損の賠償と記録の仕組みで組む。

結論:試作の前に結ぶ覚書は「漏らさない」と「使って真似しない」の二本立てにし、話がまとまらなかった場面を主役にする

自社で企画した製品を、新しい工場に作ってもらう。いきなり量産ではなく、まず試作品から、という進め方は珍しくありません。ところが試作を頼むには、仕様書、図面、資材の指定といった「製品の中身」を、まだ本契約(製造委託やOEM・ODMの契約)を結んでいない工場に渡さなければなりません。渡さないと作ってもらえず、渡した後は手元に戻らない。このページは、その試作前の段階で交わす秘密保持の覚書を、情報を出す側の立場から整理します。

事務所が試作前の覚書として組む型の結論は、次の四つです。①秘密保持(外に漏らさない)と、模倣・類似品の製造禁止(漏らさなくても真似して作らない)を別の柱として立てること。②本契約に至らなかったときの扱いを、覚書の中心に据えること。③覚書の有効期間が終わった後も、秘密保持と模倣禁止が一定期間残るようにすること。④違約金の額を先に固定せず、実際の損害の賠償と、立証の足場になる記録の仕組みで組むこと。覚書は「契約書」ではなく「覚書」という名前でも、当事者が署名や記名押印をして合意していれば、約束としての効力は変わりません。大切なのは表題ではなく中身です。

見積りや打診の段階で情報を出すときの、単体のNDAを先に結ぶ考え方はNDAをどの形で結ぶかで整理しています。このページは、その一般論の中でも、製品を作ってもらう場面に絞って、模倣禁止、試作品の扱い、取引先から預かった情報の再開示といった、この場面に固有の論点を扱います。

渡す前と渡した後で、打てる手が違う:何がどこへ流れるかを先に描く

試作の相談で最初にやることは、条文を書くことではなく、「何を、誰に、どこまで渡すのか」の棚卸しです。製品の中身と言っても、世の中にありふれた一般的な仕様もあれば、絶対に真似されたくない独自の工夫もあります。全部をいちばん強い言葉で守ろうとすると、条文が大づかみになって、肝心なところがぼやけます。反対に、当事者自身が何を大事にしているかを言葉にできていないと、守りの網が粗くなります。事務所の進め方では、依頼者と一緒に、守るべき核心と、外に出てもそれほど痛くない部分の温度差を確かめてから、条文の言葉を決めています。

試作で情報が流れていく道筋

取引先(上流)自社が仕事の中で預かっている情報がある
自社企画・仕様書・図面・資材の指定
試作を頼む工場試作品・試料・加工データが残る
工場の協力会社部品・加工・検査の一部を再委託

情報は、渡した相手の手元で止まるとは限りません。上流の取引先から預かった情報を含むなら、自社は『預かった側』であると同時に『さらに渡す側』になります。

渡す情報の棚卸し(試作前に整理する表の例)

区分例覚書での扱い
核心の情報独自の構造、配合、寸法の勘所、加工の指定、図面の最新版秘密情報に明示。目的外利用と模倣の禁止を最も強くかける
一般的な仕様用途、おおよその大きさ、世間に知られた材質の指定秘密情報に含めるが、公知の情報は除外事由で外す
取引条件の情報目標価格、数量の見込み、納期、他の候補先の存在秘密情報に含める。交渉の過程そのものも守る
上流から預かった情報取引先の仕様、取引先名、取引先の販路預かった条件に合わせ、同等以上の義務を工場に負わせる
試作の結果試作品、試験結果、工場が試作中に見つけた改良秘密情報とみなし、帰属は後の協議か本契約で決める

渡した情報は、いつ、何を、どの版で渡したかを記録に残します。後で『そんな情報はもらっていない』と言わせないための、足場になります。

記録は、メールの送信履歴でも、受渡しの一覧表でも構いません。覚書の別紙に「開示した資料の一覧(名称・版・日付)」を付け、追加で渡すたびに追記する方法もあります。覚書の中で「何を渡したのか」をはっきり形に残しておく意味は、争いになったときの足場であると同時に、争いを起こさせない抑止でもあります。相手からすれば、書面で縛られていると分かっているだけで、軽い気持ちで真似に踏み出しにくくなります。

二本柱の条文:漏らすことと、自分で真似て作ることは別の行為

秘密保持契約を結んでおけば安心、という思い込みには穴があります。試作前の場面で守りたいものを分けると、リスクは二種類あります。一つは、預けた情報を相手が外に漏らすこと。これが普通のNDAの守備範囲です。もう一つは、相手が情報を一切外に出さず、自社の工場の中で似た製品を作ってしまうことです。外には何も漏れていません。それでも、時間とお金をかけて考えた製品の隣に、そっくりなものが並びます。

この二つ目は、「秘密を漏らさない」という約束だけでは抜け落ちます。「うちは誰にも見せていない。漏らしていないのだから違反ではない」と言われたら、反論が難しいからです。漏らすことと、自分で真似ることは、別の行為です。事務所が製造委託の取引向けに作成したNDAにも、秘密情報の利用を本取引の目的の範囲に限ったうえで、「これに基づき自己もしくは第三者のために製品の製造、販売その他これに類する行為を行ってはならない」と書き込んだものがあります。試作前の覚書は、これをさらに前面に出した形です。

条文例

第○条(秘密情報の目的外利用及び類似品の製造・販売の禁止)

1乙は、秘密情報を、試作品の製作及びこれに付随する見積りの目的(以下「本目的」という。)以外に使用してはならない。

2乙は、秘密情報を用い、又はこれに依拠して、本製品と同一又は類似の製品(試作品を含む。)を、自ら製造し、第三者に製造させ、又は販売、貸渡し、輸出入してはならない。

3前項の義務は、試作の結果、甲乙間で本製品の製造に関する契約が成立しなかった場合にも、第○条に定める期間、存続する。

4乙は、秘密情報、試作品又は試料を、分解、成分分析、寸法測定、その他の解析の対象としてはならない。ただし、本目的の達成に必要な範囲で甲が書面で承諾したものは、この限りでない。

第2項の『依拠して』という限定が、工場の既存の事業を不当に縛らないための線引きになります。同じ工場が元から作っている製品まで禁じる書き方は、署名を得にくく、後で争われやすくなります。

法律の保護があるから契約は要らない、とはなりません。不正競争防止法には、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと(模倣)を前提に、その商品を譲渡したり貸し渡したりする行為を不正競争とする規定があります(同法2条1項3号、同条5項)。ただし、日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品には、この規定による差止めなどは働きません(同法19条1項6号イ)。また、試作の段階の情報は、営業秘密(秘密として管理されている事業活動に有用な情報で、公然と知られていないもの。同法2条6項)に当たるかどうかが、秘密としての管理の実態や立証にかかります。営業秘密を示された者が、不正の利益を得る目的や損害を加える目的で使用・開示する行為も不正競争に当たり得ますが(同法2条1項7号)、目的の立証が必要です。差止めを請求できる根拠は同法3条にあります。

つまり、法律の保護は、要件と立証がそろって初めて働きます。覚書は、その手前を「約束」で固めておく書面です。約束があれば、違反の有無は『渡した情報に依拠して類似品を作ったか』という契約上の問題として争えますし、渡す前の段階で相手に線を引くことにもなります。

本契約に至らなかったとき:類似品の禁止の範囲と期間を、強さの段から選ぶ

この覚書でいちばん神経を使うのは、試作はしたが本契約に進まなかった場面の条文です。量産の委託に進むなら、両者はこれから長く付き合うパートナーなので、足を引っ張り合う理由はありません。問題になるのは、試作をして、結局その工場とは契約しなかったときです。工場の手元には、仕様書も図面も、試作を通じて得た経験も残っています。いちばん情報を持っている相手と、いちばん縁が切れている。この組合せが最も危ういのです。

しかも、この場面では相手が悪人かどうかはあまり関係がありません。契約が流れた後、別のところから似た製品の引き合いを受けた普通の取引先が、手元にある試作のデータと経験をそのまま次の仕事に生かしてしまうことは、悪意がなくても起こります。人柄や信頼とは別に、約束として線を引いておく必要があります。

本契約に至らなかったときの縛り方上ほど強く縛る書き方

  1. 類似品の製造・販売を期間を区切って禁止試作品と同一又は類似の製品の製造・販売を、不成立の日から一定の期間禁止する核心の工夫が製品の価値のほとんどを占める製品。期間は製品のライフサイクルに合わせる
  2. 提供した情報に依拠した製品だけを禁止秘密情報を用い、又はこれに依拠した製品に限って、製造・販売を禁止する工場が元から似た製品を扱っている場合。署名を得やすく、紛争でも限定的に読まれにくい
  3. 秘密保持と目的外利用の禁止にとどめる製造禁止は置かず、漏えいと目的外利用だけを禁止する核心の情報を渡さず、一般的な仕様だけで見積りを取る場合

禁止の範囲が広いほど、相手の署名は得にくく、後で公序良俗(民法90条)に反しないかが問われやすくなります。製品の性質と相手との関係に合わせて段を選びます。

類似品の禁止をめぐる、出す側と工場側の見方

出す側(開示者)の設計

  • 禁止の対象を『秘密情報を用い、又はこれに依拠した製品』と書き、渡した情報との結びつきで線を引く
  • 期間は、製品が市場で価値を持つ見込みの期間に合わせ、不成立の日などの起算点をはっきり書く
  • 試作品の製作中に工場が得た改良や知見も、通知させて、帰属が決まるまでは秘密情報として扱う

受け取る側(受領者)の点検

  • 元から自社で製造してきた製品、独自に開発したことを示せる製品は、禁止の対象から外れているか
  • 禁止の期間が事業の実態に照らして長すぎないか、起算点が明確か
  • 『類似』の範囲が広すぎて、通常の営業まで止まらないか

工場の側に『独自に開発したことを証明できる情報は除外する』余地を残すと、条項全体が有効なものとして受け入れられやすくなります(除外事由の考え方は除外事由・立証方法・残存知識)。

試作品・試料そのものの扱い:解析の禁止、成果の通知、返還の対象

図面や仕様書のように紙やデータで渡すものと違い、試作品や試料は「現物」です。現物があれば、分解し、成分を分析し、寸法を測れば、渡していない情報まで読み取れてしまいます。リバースエンジニアリング(製品を分解・解析して、仕組みや設計を調べること)は、契約で禁じなければ、現物の所有者がすることを止める手がありません。

事務所が作成したAI需要予測ツールの開発に伴うNDAには、開示目的を特定したうえで、リバースエンジニアリング、逆コンパイル、逆アセンブルなどの解析行為や、ソースコードやアルゴリズムを取得しようとする行為を禁じ、秘密情報を利用して技術的な成果を得たときは直ちに報告させ、その帰属は協議で決めて、決まるまでは成果も秘密情報とみなす、という条があります。ものづくりの試作に当てはめると、「現物の解析の禁止」「試作中に見つけた改良の通知」「帰属が決まるまでの秘密情報扱い」の三点に読み替えられます。

ヒヤリングで確かめること試作品・試料の扱いで決める項目

  1. 試作品や試料を、分解・成分分析・寸法測定の対象にしてよいか解析で渡していない情報が読み取れるため。必要な検査があるなら、範囲を書面で承諾する形にする
  2. 試作の過程で工場が見つけた改良や知見は、誰に知らせるか通知を義務にして、帰属は協議。決まるまでは秘密情報とみなす
  3. 試作品そのものは、返還か廃棄か。期限は電子データや書面だけでなく、試作品・試料を返還の対象に含める。事務所の書類には、契約終了後10日以内に電子データ・書面・試作品等の削除と返還を求めるものがある
  4. 試作で余った資材や端材は専用資材の端材から形状が読み取れることがある。廃棄の方法まで決める

出願を考えている発明や意匠を含む図面を渡すときは、もう一つ注意があります。特許は、出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明について受けられず(特許法29条1項1号)、意匠登録も、出願前に公然知られた意匠は受けられません(意匠法3条1項1号)。誰に、何を、どの約束のもとで渡したかの記録と、守秘の約束を、渡す前に書面で整えておくのは、出願の面でも意味があります。

上流の取引先から預かった情報を、工場へ渡すとき

試作の相談では、工場に渡す情報に、自社が取引先から預かっているものが含まれる場合があります。自社は「自分の秘密を守る」だけでなく、「人から預かった秘密を、さらに別の相手に渡す」立場でもあります。工場から漏れたら、困るのは自社だけでなく、上流の取引先にも迷惑がかかります。鎖はいちばん細い輪のところで切れるので、新しくつなぐ輪を細いまま放っておかないことが大切です。

事務所の改訂例 上流の情報と再委託の条

上流の情報

改訂前乙は、甲から開示された情報を、目的以外に使用してはならない。(自社の原案)
改訂後秘密情報には、甲が第三者から開示を受け、又は第三者との関係で知り得た情報を含む。甲は、当該第三者が定める取扱いの条件を乙に通知し、乙はこれに従う。

自社が上流に負っている守秘義務と同じ強さの約束を、工場にもかけて渡すため。

工場の協力会社

改訂前乙は、秘密情報を、第三者に開示してはならない。(自社の原案)
改訂後乙は、部品の加工、検査その他の再委託先に秘密情報を開示する場合、あらかじめ甲の書面による承諾を得て、本覚書と同等以上の義務を課し、その行為について自己の行為と同一の責任を負う。

『第三者に開示しない』の一文だけでは、工場が協力会社に図面を回す場面を規律できないため。

これは「再委託と第三者への開示をつなげる」考え方そのもので、詳しくは目的外利用と開示の範囲で扱っています。自社が上流に負っている守秘の期間より、工場に課す期間が短ければ、その差の期間に漏れた情報は自社だけが責任を負うことになります。期間の合わせ方は存続期間の設計の考え方が当てはまります。上流の情報を含む場合は、秘密情報の定義にも、第三者の情報を明示して加えます(業種の言葉で列挙する)。

違約金を置かない設計、実損の賠償、そして期間が終わった後の存続

損害賠償について、「破ったらいくら払う、という金額を先に決めておかなくてよいのか」という質問をよくいただきます。違約金(民法上は賠償額の予定と推定されます。同法420条3項)を決めておけば、損害の額を証明しなくても請求でき、抑止力も分かりやすくなります。ただし、模倣や情報漏えいでは、実際の損害がいくらになるかは、起きてみないと読めません。低く決めすぎると『その額さえ払えば真似できる』という逆の効果になりかねず、高く決めすぎると、条項そのものの有効性が公序良俗(同法90条)から問われます。

試作前の覚書の賠償条項の三つの組み方

組み方書き方の骨子向く場面
実損を賠償する違反によって生じた損害を賠償する。損害の発生と額は個別に立証する損害の幅が読めない製品。相手との関係を保ちたい場面
実損+立証の補助実損の賠償に加え、違反の疑いがあるとき、製造数量・販売先・利益などの資料の開示や報告を求められる模倣が疑われたときに、足場を確保したい場面。試作前の覚書では、この組み方が使いやすい
違約金を定める違反1件につき定額、または実損が上回れば超過分も請求できる旨を添える損害の見当がつきやすい製品。金額は過大にしない

どれが正解という話ではなく、製品の性質、相手との関係、起こりうる被害の幅を見て選びます。違約金と実損の設計の詳細は違約金・損害賠償で扱っています。

事務所が試作前の覚書で実損賠償を選んだときは、覚書の中に「違反によって損害が出た場合は賠償する」と書いたうえで、依頼者に「なぜ金額を固定しないのか」を説明できるようにしています。条文ごとに理由があり、その理由を依頼者が自分の言葉で説明できることが、契約書づくりでいちばん大切だと考えているからです。

もう一つ、有効期間の決め方です。覚書にはいつからいつまで有効かを入れますが、秘密保持と模倣禁止の約束が、有効期間が切れた瞬間に消えてしまうと、製品は市場にあるのに、守りの約束だけ先に期限切れ、ということが起こります。入口を固く閉めても、出口が開けっ放しなら意味がありません。覚書の有効期間とは別に、秘密保持と模倣禁止の存続期間を決め、「解除、取消し又は無効の場合にも存続する」と書き添えます。

条文例

第○条(有効期間及び存続)

1本覚書の有効期間は、締結の日から試作品の納入日(又は試作の中止の日)までとする。

2前項の期間の終了後も、第○条(秘密保持)、第○条(目的外利用及び類似品の製造・販売の禁止)及び第○条(返還及び廃棄)の規定は、試作の終了又は中止の日から○年間、存続する。

3本覚書が解除され、又は取消し若しくは無効となった場合も、前項は適用する。

4甲乙間で本製品の製造に関する契約が成立した場合、当該契約に秘密保持及び模倣禁止の定めがあるときは、その定めを優先し、前各項の義務は当該契約に引き継ぐ。

第4項は、覚書と本契約の二重の適用による混乱を避けるための引継ぎの条です。

契約が重大な違反で破られたときは、催告をせずに解除できる旨も置きます。民法542条は、債務の履行が不能な場合や、履行を拒絶する意思が明確な場合などに催告なしの解除を認めていますが、情報の漏えいがその類型に当たるかは明確でないため、覚書に明記しておく意味があります。解除すれば各当事者は原状回復の義務を負いますが(同法545条1項)、これだけでは複製物や派生情報の削除、模倣の禁止まで届くか明らかでないので、返還・廃棄の条(返還・廃棄・証明)で補います。

試作前の覚書のヒヤリングと、起きがちなこと

ヒヤリングで確かめること試作前の覚書をつくるとき、事務所が最初に確かめること

  1. 試作の後、量産に進まなかったとき、どのような製品が出回ると困るか類似品の禁止の範囲と期間を決める出発点。核心の工夫がどこにあるかをここで言葉にする
  2. 工場はすでに似た製品を作っているか元から作っている品目を禁止の対象から外すか、『依拠』で線を引くかを決める
  3. 渡す情報のうち、取引先から預かっているものはあるか同等以上の義務を工場に負わせる条と、期間の合わせ方を決める
  4. 試作の現物は、工場の手元にどのくらい残るか解析の禁止、返還・廃棄の対象と期限を決める
  5. 工場は、部品や加工を別の会社に任せるか再委託の承諾制と、協力会社への同等義務を決める
  6. 出願を予定している発明や意匠は含まれるか渡す情報と相手、守秘の約束の記録を整える

よくあるご質問

試作前の秘密保持覚書は、NDAと何が違いますか?

NDAは主に、情報を外に漏らさないこと、目的以外に使わないことを定める書面です。試作前の覚書は、これに加えて、試作の目的の限定、本契約に至らなかった場合の類似品の製造・販売の禁止、試作品の返還・廃棄、覚書の有効期間後の存続を定めます。名称は覚書でも、署名や記名押印をして合意していれば、契約書と同じく約束としての効力があります。

秘密保持契約を結べば、類似品を作られても止められますか?

必ずしも止められません。秘密保持の義務は『情報を外に漏らさない』ことに向けられているため、相手が自分の工場の中で似た製品を作った場合は、漏えいではなく目的外利用に当たるかどうかが争点になります。目的を試作に限定し、類似品の製造・販売を明示的に禁じておくと、争う足場ができます。

違約金の額は決めておくべきですか?

どちらが正解というものではありません。模倣や漏えいの損害は起きてみないと読めないことが多く、低すぎると『払えば真似できる』という逆の効果になり、高すぎると有効性が公序良俗の観点から問われます。実損を賠償する形に、製造数量や販売先などの資料の開示を求められる条を添える組み方もあります。

試作を頼んだ工場が、部品の加工を別の会社に任せたいと言ってきました。

再委託先への開示は、あらかじめ書面で承諾を得る形にし、その会社にも覚書と同等以上の義務を課して、工場が自分の行為と同じ責任を負う形にします。承諾なしに図面が回ると、自社の管理が届かない先まで情報が広がるためです。

試作がうまくいかず、本契約に進まないことになりました。覚書はいつまで効きますか?

覚書の有効期間とは別に、秘密保持と類似品の製造・販売の禁止の存続期間を定めておけば、有効期間が終わった後も、その期間は約束が残ります。存続期間は、製品が市場で価値を持つと見込まれる期間と、上流の取引先に自社が負っている期間を見て決めます。

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